奄美大島が世界自然遺産に登録された理由とは?旅行中の注意点やおすすめのアクティビティをご紹介!
ついに世界自然遺産に登録!
奄美大島は、鹿児島本土と沖縄の中間に位置する亜熱帯気候に属する島です。
島の周囲461キロメートル、面積712平方キロメートル、人口は約9万9247人(2023年4月現在)で、鹿児島県の離島のなかで面積・人口ともにNO.1となっています。
2017(平成29年)、奄美大島をはじめとする奄美群島の島々が全国で34番目の国立公園に指定されたことを背景に、2021年(令和3年)7月には、沖縄本島北部・西表島とともに、奄美大島・徳之島が世界自然遺産に登録され、注目を集めています。
奄美大島は、屋久島、白神山地、知床、小笠原諸島に次いで、日本で5番目の世界自然遺産の登録地となりました。
奄美大島の自然が評価された理由
奄美群島は、太古の昔から中国大陸や日本列島と陸続きになったり、離れたりを繰り返してきました。
そのため、独自の進化を遂げた固有種やほかの地域ではすでに絶滅してしまった希少種が多数存在することから「東洋のガラパゴス」とも言われています。
世界自然遺産として登録されるためには、自然景観、地形・地質、生態系、生物多様性の4つの価値基準(クライテリア)があり、奄美大島・徳之島、沖縄本島北部および西表島は、「生物多様性」の基準から推薦を受けて登録されました。
ちなみに生物多様性とは、絶滅の怖れがある野生動物の生息地など、生物多様性の保全にとって最も重要な生物の生息・生育する地域の基準のことで、奄美大島・徳之島はこれに該当しています。
希少な動植物
奄美大島には、絶滅危惧種や天然記念物など希少な野生の動植物が数多く生息しています。
国や県および奄美市では、希少な動植物を後世に継承していくことを目的に保護指定を設けており、これらの希少野生動植物を捕獲・採取した場合には罰則の対象となるため、注意が必要です。
豊富な固有種の数
ここからは、奄美大島の代表的な固有種・固有亜種について詳しくご紹介します。
まず、哺乳類ではアマミノクロウサギ、ケナガネズミ、アマトゲネズミなど13種が挙げられるでしょう。
なかでも、可愛らしいアマミノクロウサギは絶滅危惧種で、国の特別天然記念物に指定されています。
鳥類では、ルリカケス、オオトラツグミ、オーストンオオアカゲラ、アカヒゲなど315種あります。
特に、ルリカケスは鹿児島県の県鳥で、奄美大島のみに生息する天然記念物です。
爬虫類は、ハブ、アマミタカチホヘビ、アマミヤモリなどの16種です。
両生類は、イボイモリ、オットンガエル、アマミハナサキガエルなどの10種が挙げられます。
陸水生魚類では、リュウキュウアユ、ハヤセボウズハゼ、キバラヨシノボリなど154種であり、昆虫類は、アマミヤンマ、アマミマルバネクワガタ、マルダイコクコガネなど3254種です。
陸水生甲殻類十脚類は、アマミミナミサワガニ、リュウキュウサワガニ、サカモトサワガニなど14種あります。
植物は、トリガミネカンアオイ、グスクカンアオイ、フジノカンアオイといった1307種など多数の固有種が確認されています。
奄美大島の自然が体感できる
おすすめアクティビティ
奄美大島では、様々なアクティビティが体験できるので、どれを選んでいいか迷われてしまうかもしれません。
ここでは手つかずの自然を体感できるおすすめのアクティビティを3つ厳選しました。
気になるアクティビティが見つかったら、早めの予約をおすすめします。
奄美大島のおすすめアクティビティ
①金作原散策
奄美大島のほぼ中央に位置する金作原原生林は亜熱帯植物の宝庫で、映画ゴジラのロケ地になったことでも知られています。
金作原原生林は、2019年(平成31年)2月から、自然環境保護のため個人で行くのはNGとなり、認定エコツアーガイドの同行が必須となりました。
ツアーでは、往復約2キロメートルの道中、経験豊富なガイドさんが珍しい動植物の名前や生態、知る人ぞ知るパワースポットなどを紹介してくれます。
金作原原生林は、標高約300メートル、面積は約125ヘクタールで、東京ドーム約26個分の大きさです。
原生林の散策路は、片道約900メートルの未舗装路ですが、なだらかな道ですので小さなお子様やご年配の方でも安心して参加できます。
見どころは、高さ10メートルにも成長し、シダの仲間では最大といわれるヒカゲヘゴや、ジブリ映画『となりのトトロ』でトトロが傘代わりに使っているクワズイモの葉などの植物です。
また、散策路の折り返し地点にある金作原のパワースポット、樹齢150年以上のオキナワウラジロガシも注目すべきポイントと言えるでしょう。
木の根が板状に張り出しているのが特徴で、日本一大きなドングリが取れることでも知られています。
奄美大島のおすすめアクティビティ
②マングローブカヌー
マングローブとは、熱帯・亜熱帯地域の海水と淡水が混ざり合うところに生育する植物の総称で、広さは約70万平方メートルです。
ツアーでは、ベテランガイドの案内で、日本で2番目に大きなマングローブの川を、マングローブカヌーでパドルを左右に漕いで進みます。
カヌーは安定性抜群で、初心者でも気軽に参加できるため、お子様から年配の方まで、幅広い世代の方にお楽しみ頂けるのが魅力です。
干潮時には干潟観察も可能で、ミナミトビハゼやシオマネキなどの生き物を観察できるかもしれません。
なお、金作原原生林散策とマングローブカヌーがセットになった1日体験ツアーもあるため、体力に自信のあるアクティブな方に特におすすめです。
奄美大島のおすすめアクティビティ
③ナイトツアー
ナイトツアーでは、昼間見れない夜行性動物を探しに行くため、夜のジャングルをジープで走り回ります。
生き物の生態やジャングルに精通したガイドとともに、昼間とは違った夜の雰囲気を味わいながら、ワクワク感とスリル満点の体験ができるでしょう。
国の特別天然記念物・アマミノクロウサギをはじめ、リュウキュウコノハズク、アマミヤシギ、ハブなど夜行性の動物たちが観察できるチャンス!
ツアーの所要時間は約2時間~3時間で、車から降りて歩くことはあまりないので、幅広い世代におすすめです。
日没時間によって出発時間が異なりますが、夕方スタートになります。
さらに天気の良い日は、美しい満天の星空も同時に楽しめるはず!
なお、料金は多少アップしますが、通常のナイトツアーよりも長い夜を探検できるミッドナイトツアー(夜中に出発するコース)もおすすめです。
自然保護のための注意点
奄美大島の自然を保護するために、注意点が数多くあります。
ここでは主に5つの注意点を取り上げさせて頂きます。
奄美大島を観光する際にはぜひこれらの注意点を念頭に置いて行動してみましょう。
自然保護のための注意点
①夜の山道はゆっくり走ろう
奄美大島には天然記念物であるアマミノクロウサギ以外にも夜行性の動物が数多く暮らしています。
非常に残念なことに、近年アマミノクロウサギの交通事故死が増加しています。
ロードキル防止看板などを見かけたら速度を落とし、特に夜の山道は、ゆっくりとした運転を心掛けましょう。
自然保護のための注意点
②動植物の生活を邪魔しない
奄美大島の山や海には、様々な生き物たちが暮らしています。
植物は、人間の踏み込みに弱いため、原生林の散策などでは遊歩道を外れて歩くことのないようにしましょう。
また、動物を観察する際には、距離を保ち、急に近づかない、大声で脅かさない、ナイトツアーで光を当てる時には最小限にするなどの配慮が必要です。
自然保護のための注意点
③動植物持ち込み持ち出し禁止
前述の通り、奄美大島ではさまざまな外来生物の持ち込みにより、島本来の生態系に悪影響を及ぼします。
とくにハブ対策として島に放たれたマングースやペットだった犬や猫など、外来生物による在来生物の捕食が大きな問題となっています。
国内希少野生動植物として国の指定を受けた31種(動物22種、植物9種)は、捕獲・採取等が禁止されていて、違反すると罰則の対象となるため、注意しましょう。
自然保護のための注意点
④エコツアーガイドの利用
希少な固有種や生物多様性の森について観光客にも分かりやすく解説してくれるのがエコツアーガイドの役割です。
前述したように、金作原原生林の観光は認定エコツアーガイドの同伴が必須です。
その他のナイトツアーなどもルールを守って野生生物と接するために、エコツアーガイドの利用が推奨されています。
奄美大島観光の際にはツアーに参加することで、ガイド同伴の旅を楽しめるでしょう。
自然保護のための注意点
⑤ゴミを拾って持ち帰ろう
山や海など、ゴミ箱が設置されている場所は少ないのが現状です。
特にプラスチックゴミは近年世界規模で問題となっており、海に生息する生物たちの健康を脅かしています。
奄美大島にはウミガメやクジラ以外にも数多くの希少生物が生息しています。
これらの生物がいつまでも元気に生息できる綺麗な海を維持するには、自分のゴミでなくても拾う努力が必要かもしれません。
まとめ
今回は奄美大島が世界遺産に登録された理由、自然保護の注意点、おすすめのアクティビティなどをご紹介しましたが、いかがでしたか。
手つかずの自然をこれからも末長く保全していくには、一人一人自然に配慮ある行動を意識したいですよね。
この記事をきっかけに、奄美大島に足を運び、奄美の大自然を実際に体感してみてください!
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